JTC(大企業)の出世は「実力」の皮を被った「運」である ── 選別主義が隠蔽するエリートの不都合な真実【全10回連載 vol.5】
業績は評価されない。 ── 早く“選ばれた”という事実だけが、一生を支配する。 「特定の基準や条件に基づいて優秀な人たちを選別するのが当たり前だ」という考えに基づいてある特定の集団や個人を選別し、その他を排除してしまう考え方を 「選別主義」 といいます。 「選別主義」は、平等や公正という価値観と対立する概念です。 しかし、なぜか批判されることもなく広く社会に受け入れられ、多くの犠牲を払ってでも選別されようと努力する人が後を絶たちません。 本記事では、前回とりあげた「序列」 という構造的な壁に加え、それと表裏一体にある 「選別主義」の矛盾と不条理、そして実績ではなく「運」や「恣意的な評価」で選ばれるエリートたちの実像を暴きます。 <筆者紹介> 東京大学建築学科卒業後、スーパーゼネコン、大手インフラ企業に勤務。 約40年にわたり、日本型大企業(JTC)という共同体の内部を観測する。 出世競争という制度的ゲームからは早期に身を引き、 組織の評価ではなく、個人の「実体」に投資する道を選ぶ。 🕮目次 Ⅰ. 試験による選別の矛盾 Ⅱ.入社時の選別による不条理 Ⅲ.選別主義が招く「不適材不適所」の悲劇:旧日本陸海軍との共通点 Ⅳ.選別されたエリートたちの実像とは?~とある大手インフラ企業の場合 Ⅴ.まとめ:選別主義という「幻想」に振り回されないために Ⅰ. 試験による選別の矛盾 ずいぶん前から創造的な能力がいっそう重要になるといわれていますが、その能力を試験(点数)で選別しようという矛盾が今も続いています。 創造力(質)を数値化(量で評価)するのはどう考えても無理です。 入学試験や入社試験で、創造力判定に何が必要か分からないため、何でもとりあえず選別の基準に取り入れてしまいます。 選別のハードルは次々と設けられ、ハードルの数が増えれば増えるほど創造力のある個性的な人間はふるい落とされていくことになります。 その結果、正解のある問題しか解けない、創造力の無い優等生ばかりが選別されてしまうという矛盾に陥っています。 Ⅱ.入社時の選別による不条理 同志社大学 名誉教授・太田肇著 『選別主義を超えて』 によると「将来の幹部候補生を早期に選抜し、別コースで育成するケースが増えてきた」ということです。 ではどうやって選別されるのか?...