JTC(大企業)の「神輿」に乗ったリーダーたち ── 中根千枝『タテ社会の人間関係』が語る日本的リーダーの不都合な真実【全10回連載 vol.2】
高度成長期の「最強の神輿」は、今や「ただの重荷」でしかない。── ポスト工業社会で見捨てられた、日本型タテ社会の末路。 IMD(国際経営開発研究所)が発表した2025年版の世界競争力ランキング。 日本は35位と、過去最低水準からのわずかな回復を見せたものの、その内実を紐解けば、依然として深刻な構造的課題が横たわっています。(下のグラフ参照)。 特に 「経営プラクティス(Management Practices)」 の項目は、先進国とは思えないほど深刻な低順位に沈んでいます。 ──なぜ日本企業のリーダーはここまで無力化したのか。 40年にわたる観測をもとに、 JTC(Japanese Traditional Company:日本型大企業) の構造的な病理を解き明かす連載、第2回。 前回の記事では、思想家・山本七平が指摘した日本型リーダーの本質──「同輩中の第一人者」という視点から、経営プラクティス世界最低レベルの正体に迫りました。 本記事では、50年以上前の古典、中根千枝 ※ の 『タテ社会の人間関係』 (Amazonアソシエイトリンク)を補助線に、日本型リーダーの構造的病理を暴きます。 ※ 中根千枝(1926–2021)は、日本を代表する社会人類学者であり、特に著書『タテ社会の人間関係』で知られる人物です。日本の学術界で多くの「女性初」を切り開いた先駆者でもあります。 <筆者紹介> 東京大学建築学科卒業後、スーパーゼネコン、大手インフラ企業に勤務。 約40年にわたり、日本型大企業(JTC)という共同体の内部を観測する。 出世競争という制度的ゲームからは早期に身を引き、 組織の評価ではなく、個人の「実体」に投資する道を選ぶ。 🕮目次 Ⅰ. リーダーは「能力」ではなく「場」の象徴にすぎない Ⅱ. 「部下に制約されるリーダー」という日本独特の喜劇 Ⅲ. 「バカでも成り立つ」システムの残酷な完成度 Ⅳ. 成功体験という名の「呪い」:1970年代までの工業社会 Ⅴ. ポスト工業社会における「神輿」の限界 Ⅵ. まとめ:私たちは「神輿担ぎ」をやめる勇気を持てるか Ⅰ. リーダーは「能力」ではなく「場」の象徴にすぎない JTC(日本型大企業)において、社長というポストは「意思決定のプロフェッショナル」に与えられるもので...